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だいちのこと嘘つき日記

本当と嘘とその間の隙間

サラリーマン

あの人の部屋には物があまりない。
簡潔した6畳のワンルームの中で一番大きなシングルのベッドに座って
コーラを飲んでいる。
冷蔵庫の中には、安い発泡酒レッドブルと缶コーラ。
帰ってくるのは0時を過ぎ、私はいつも煙草を吸って待っている。
疲れきったその表情からは、髭が伸び、くまがある。
「まだ、起きてたの?」
微笑む彼のいつもの台詞。
「うん、眠れなくて。」
本当は、いつも彼を待っているのだが、
「あなたを待っていたよ。」なんて言えない。
「シャワー浴びるね」
と言って、スーツをかけ、洗濯機に放り込む。

わたしはクラッカーに食べ残りのチーズを乗せ、トマトを盛りつける。
風呂上がりの彼は
「いいのに、自分でやるよ。」
と言って、発泡酒を開け、抱きついてくる。
「もう、邪魔。」なんて言っているけど、
本当は彼のシャンプーの匂いを嗅ぎたくてたまらない。

2時を過ぎた頃、彼と一緒にベッドに入る。
ぐったりとして、すぐに寝てしまうのはいつも彼のほうだ。
キスをして、体を触れ合うのは、祝日の日だけだ。

「あしたは早いの?」
「まぁ〜ね。」
「ねぇ。」
「何?」
「何でも無い。」
「怒るなよ。」
そういって彼は私を抱きしめる。

私が起きた頃には、きっと彼はもういない。
起こさないように、ひっそりと家を出るのだ。

私は彼の温もりがあるベッドでしばらくまた眠る。