すくう
あなたがスプーンですくって食べてくれたから僕は救われました。
ソーダ水の中で眠っていた僕をストローでぶくぶくして浮かせてくれました。
溢れ出した想いが君にかかって、白いワンピースを汚してしまったね。
安心だからっていって、連れ出してくれた街は夜なのにとても明るくて
僕はぱちぱちと弾けたようにまばたきをしていた。
あなたは僕が元気になると、どこかの誰かと一緒に幸せの海へ行った。
いつでも幸せよ。なんてあなたは言うけれど。
22歳の僕にはまだ力がなくて、ただただウイスキーを飲んでタバコを吸っていた。
目覚めたら少し優しくなれるような気もしたし、なんだか気だるくなって寂しくもなったんだ。
あの日から僕はすくう側にまわろうと思った。
あなたがそうやったように僕は同じようにまただれかをすくう。
ギターの弦を張り直して
少しばかりギターが上手くなったら
僕を救ってくれた人たちに囁くように
また誰かを愛するだろう。
みんな寂しくて埋もれてしまわないように