だいちのこと嘘つき日記

本当と嘘とその間の隙間

青春時代

僕にはとても大事な友達がいる。

20歳ぐらいにネットで出会った友達だ。

あの頃の僕らは酒を飲んで、ロックを聴いて

毎晩Skypeを使って、何を話していたかなんてもう忘れてしまったけど

彼は大学を留年して、大学院に行き中退をして、現在医学部を目指して頑張っている。

居酒屋で彼は言った。

「やりたいことがあるんだ。相談していいかな?」

「うん、いいよ。」

「俺さ、よく考えたんだけど。」

「うん。」

「やりたいこと、考えたんだけど。」

「やっぱり、医者になりたい。」

「うん。」

「医者という生き方がしたいんだ。

 職業を選択したっていうよりも

 医者という生き方をする為には医者しか思い浮かばなかった。」

「うん。」

「だいちゃんどう思う?」

「いいと思う。僕はそれしか言えないよ。

 だって、僕に言っている顔は覚悟している顔だったよ。

 僕は君がとても好きだし、尊敬もしている。

 もう決まっているじゃないか。」

「うん、それはそうなんだけど

 やっぱり普通な幸せをある程度諦めなきゃならない気がする。

 俺は今24歳だ。一年では多分無理だ。高校の勉強なんて忘れてしまっている。

 2年かかるとして入る時は26歳だ。卒業したら31だよ。一人前になるには

 3,4年はかかるだろう。そしたら、35歳だよ。みんなは結婚して、子供がいて

 僕はその頃やっと一人前だ。それはどう思う?」

「それは、僕が君じゃない人間に言うとすると

 やめておけというだろう。だって、今大学院を卒業して研究職になった方が

 リスクは少ないし、所謂普通の幸せだって近いと思うよ。

 でもね。僕は君が好きだから。そして、今とても誇らしい気持ちなんだよ。

 だって、やりたいこと見つけたんだろう?見つけられなくてただ、生きている人の方が多い。僕だって成り行きで、今の会社に入った。

「でも、頑張っているじゃないか。」

「そうだ。僕は枠組みの中で今必死にもがいているよ。

 だから、君がそう決めてくれたことに関して

 とても勇気がいることを知っている。

 単純にかっこいいと思っている。」

「ありがとう。」

「それに君の家計は運よく家計的にも裕福だ。

 ただ、夢を追うのだけじゃなく

 条件もついている。そういう環境がある。

 そんな人はめったにいない。

 いまさら、医学部なんてとか言われるかもしれない。

 でもね。君は戦える状態についているんだから、戦うことに恥ずかしくなる必要は無い。君は恵まれている。」

「うん、だよね。僕は恵まれている。

  本当ありがとう。」

 

そして、ずっと未来について思いながら一緒に飲んでいたのだ。

つい先日、そんな友達から電話が来た。

「だいちゃんと、今年最後に飲みたいなと思ったんだけど、やめようと思う。

 成績がね。やっと上がってきた。光が見えてきた。残り時間踏ん張るよ。」

「うん、嬉しいな。君が頑張っているとなんか元気がでてくる。

 とことん頑張れ、応援している。お互いステージは違うけど精一杯やろう。

 年があけたら、飲もう。たらふく。」

「俺もだいちゃんが頑張っているから頑張れる。

 俺頑張るよ。それじゃ。」

「うん、またね。」

 

電話を切った後、無性に銀杏BOYZ漂流教室が聞きたくなって

何度か聞いた。

 

「今まで出会えたすべての人々に もう一度いつか会えたらどんなに素敵なことだろう。」

 

出会ってきた人々が今の僕を形作ってくれる。

あの人も、この人もありがとう。

その人も、かの人もありがとう。

 

今日も一日頑張ります。


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