だいちのこと嘘つき日記

本当と嘘とその間の隙間

人たらし

困った時に髪をかきあげる癖や

もじゃもじゃした髪から見える笑顔とか

結構、私は好きでした。

 

掴もうとすると

あなたはいつも逃げていって

このぐらいの距離感がいいねって言っていたね。

 

あなたは誰とも付き合うことはなくて

特定の女の子とばかり遊ぶことはしなくて

あなたの周りにはいつも性別関係なく、あなたに惚れている人が沢山いて。

 

いつも困っている人がいれば、声をかけてあげて

祝い事があれば、さらっとセンスのいいものをあげてた。

 

私はなんだかいつも嫉妬していて

あなたの取り巻きの中の一人だった。

 

初めて会ったのは

いつも行くバーのお花見で

あなたはワインと日本酒を持ってきて

手にいっぱいもった手作りサンドイッチを配ってた。

 

みんな、久しぶりと声をかけて

年上から、年下までみんな、ちゃんづけであなたを呼ぶ。

私にも声をかけてくれて

「良かったら、どーぞ。」って笑ってた。

 

彼は首がよれよれのTシャツと

ジーンズとミリタリーシャツを着ていた。

どこかのロックバンドみたいな、風貌で。

「これでも営業マンなんですよ。」

なんて笑っていたのが、印象的だった。

 

「こう、見えても彼はとても優秀なんだよ。」

とバーのマスターが笑っていた。

「失礼だな。。。」なんて笑いながら、ビールを飲んでた。

 

綺麗なお姉さんが来て

「久しぶりじゃない?元気にしていたの?」

「元気ですよ。いつも変わらず綺麗ですね。」

「私はいつも、綺麗なのよ。」

って笑っていた。

 

きっと彼女は彼が好きなんだなと思った。

彼の周りに女の子が集まるもんだから

男の子も集まってきて、気づいたら

その子と馬鹿笑いしてた。私は横目にそれを見て、彼の持ってきたワインを飲んでいた。

「あっこれ、おいしい。」と

「おいしいよね。誰が持ってきたんだろう?」

「あっ、それはだいちゃんの持ってきたやつだよ。

 

少しばかり、最初に話した後に

「僕はもうこれで、帰ります。」

と言って、帰ってしまった。

 

数日後、私がバーに行った時

スーツを着た彼が、座っていた。

最初は誰だか分からなかった。

髪型を整え、ピシッととでもいうべきなんだろうか。

静かにまたワインを飲んで、タバコを吸っていた。

隣に座ると、彼はたばこをすぐ消して

「あっごめんなさい。タバコ嫌じゃない?」

って聞いてくれた。

「大丈夫ですよ。」

「ありがとう。」

そう言ってから、彼がタバコを吸うことはなかったんだけど。。。

 

「あっ、この前会いましたよね。ほら、お花見。」

「えっ。あっ。もしかして、ワインの人だ。」

「そう、ワイン持ってきた人。」

「あれ、美味しかったです。詳しいんですか?」

「それがね。詳しくないの。全然。」

「でも、美味しかったです。」

「良かった。」

「そういえば、全然イメージ違いますね。」

「あぁ、これ?」

「まぁ、一応ね。仕事する時はこんなだよ。」

「こっちのほうがいいですね。」

「そう、僕はこっちは堅苦しくて苦手。」

彼はそして、携帯電話をみて

「ごめん、そろそろ帰らなくちゃ。」

「デートですか?」

「ううん、ちょっと仕事仲間に呼ばれて。」

「マスターお会計で。」

「はい。1,500円。」

「2,000円で、残りは募金しといて。」

「いつも、ありがとうね。」

 

「なんかいつも風のように来て、風のように去りますね。」

「不思議なやつでしょ。でも、なんかみんな好きになるよね。」

「人たらし。」

「そうそう、人たらし。」

 

 

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