バラの匂いのベッド
彼の部屋のベッドはバラのボディークリームの匂いがした。
そして、それは彼女の匂いだと私は知っている。。。
私はその匂いが嫌いだ。
私が彼と出会ったのは男友達の紹介だった。
ヤス君は、いつも何処かのバーにいて
酒を飲んでいた。いつも行くのは私達学生が気軽に行ける店ではなくて
少し気取ったしゃれた店だった。
「えりちゃん、今渋谷のバーに来てるんだけど飲まない?」
「また、そんないいところにいるの?」
「うん。アニキが奢ってくれるからさ。」
彼が言うアニキは、特定の誰かではなく不特定多数の誰か。
いつもどこかで奢ってもらいながら、酒を飲んでいる。
その奢ってくれる相手のことだ。
「えりちゃん、この人はたかしさん。3ヶ月前にここで出会ってたまにここで飲んでいる。」
「ど~も。」
彼はそう言ってにこにこしながら酒を飲んでいる。
髪を結んでいて、年齢は20代後半というところか。
服装は、柄のシャツにジーンズ。職業は不明。
「こんばんわ。はじめまして、私もごちそうになっていいんですか?
ちゃんと払いますよ。」
ヤス君からの電話で、ごちそうしてくれるといったので
きたものの、なんだか悪い気がしてそんな風に言ってみた。