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だいちのこと嘘つき日記

本当と嘘とその間の隙間

僕の中の少女

僕の中の少女の話。

 

僕の中の少女はだいたい15歳ぐらいの時に現れた。

モテナイ僕にとっては、理想とする少女。

それは、恋した女の子だったり、小説に読んだ女の子だったり

映画で見た女の子だったり

そういうものがつまった女の子だった。

いつも泣きたくなったり、悲しくなったり

そういう時に眠る前、声をかける。

心のドアというものがあるなら、

それをコンコンとノックをして

どうぞという声がしたら、僕はそこに入っていく。

小さな椅子が二つあって、そこに僕がちょこんと座っていると

白いワンピースの女の子がでてくる。

部屋はだいたい夜の3時くらいの群青色に似ていて

顔はよくは見えない。

いつしか僕はその子のことを思い出さなくなった。

昨日、久しぶりに声をかけた。

 

いくつもあるドアを開けてみても

そこには少女はいなくて

ただ呆然と椅子に座っていると

そこにはあの少女よりも歳をとっている女性がたっていた。

僕と同じくらいの年齢だったと思う。

 

「やぁ。」

声をかけても、返事をしない。

「ねぇ。」

「久しぶりね。」

「うん。久しぶりに思い出した。」

「そう。」

やけに冷たい。

昔の彼女であれば、僕を優しく抱きしめて

頭をなでたり、優しい言葉をくれたりした。

「わかってるでしょ。」

「何を?」

「私はあなただから。」

「何が?」

「ど〜せ甘えたいんだろうけど、私はあなただから

 欲しい言葉はもうわかってるでしょ。して欲しいことも分かっているはずでしょ。」

「うん。」

「それを他の女の子に求めちゃだめよ。」

「分かっている。」

「簡単に欲しいものを手に入れようとしたら、だめよ。」

「分かっている。」

「ちゃんと現実の女の子見なさい。

 知ってるはずだよ。実物のほうが素敵だってこと。」

「分かっているよ。君は僕だもの。」

「でも、向き合っているのね。」

「うん。向き合っているよ。それなりにね。」

「好きな女の子を見てあげなさい。」

「ちゃんと感じて、ちゃんと見て、ちゃんと聞いて、ちゃんと触れなさい。」

「うん。分かっている。」

「それなら、いつか私がその好きな子になればいいね。」

「そうであったら。」

「大丈夫よ。私は知っているもの。」

「ということは、僕も知っている。」

「そういうことになるわね。」

「どーせ下手くそなんだから、きにする必要無いじゃない。」

「分かっているよ。」

「見抜かれてるよ。」

「そうね。いろんなひとに。」

「だから、さよならよ。」

「うん。」

「今度は君の小説に出してね。それで、素敵な男の子と恋させてね。」

「うん。」

 

涙が溢れ出して、どうしようもなかった。

きっと大人になっているんだな。

大丈夫だよ。僕は。きっとそうだもの。